泡盛部 第六期39蔵目:与那国(崎元酒造所)レポート

日時:2016年12月15日
参加人数:12名
創業は昭和2年で、与那国島の3つの蔵の中でもっとも古い酒造所になります。
女首長が住んでいたという岩山「ティンダハナタ」の近くに蔵はあります。
主要銘柄はその名も「与那国」。
他に60度の花酒はもちろん、にごり泡盛の「海波(かいは)」などがあります。
飲み方人気ランキング:
1位:水割り(5票)
2位:割燗(4票)
3位:ストレート(3票)
4位:ロック(0票)
①水割り②お湯割り③ストレート④ロック の順番で、参加者皆で足並みを揃えて飲む方式となっております。
*****
「黒の与那国」
黒をベースとし、金の「龍と鳳凰」を配したラベル。オリジナルのキャップにキャップシールも黒を基調としており
デザインに気合を感じる。
与那国という小さな離島で作られる泡盛であることに誇りを持ち、その文化の継承を背負うような気構えさえ漂ってくる。
石垣島と同じく地釜式蒸留。
その字面もこのラベルに付されると妙に力強く荒々しい雰囲気が醸し出され、味への期待を誘う。
「洗練と素朴の同居」
水割りでは、豊かな香りが広がる。
水馴染みも良く、味がしっかりのっている。
地釜式蒸留特有の甘味がしっかりとあり、その後に焦げのような香ばしさが続く。
そのバランスはともて良く、「洗練」とさえ感じる味わいだ。
しかし奥には島らしいタッチが潜む。
品良さと素朴さが同居している不思議な感覚。
割燗では甘さよりもツンとした辛さがたつ。
ストレートはその甘さも相まってウォッカのような洋酒っぽい男らしい味わい。
ロックにすると味は引き締まるが、やや苦みが気になり、甘さの魅力が影を潜めてしまい少々もったいない。
「オリエンタルフードと」
つまみにはスパイス、ハーブ、ナッツを使ったソースをかけたものと合わせてみたい。
鶏肉や白身魚にソースを施したもの。サテのようなイメージ。
この酒の甘さと香ばしさには香味の効いたものがうまく絡みそうだ。
スパイスは辛い系ではないもので。
オリエンタルなムードがあるといい。
また、スイーツも合いそうだ。ブランデーケーキやビターなブラウニーなど大人っぽいスイーツ。
こちらもこの酒の中にナッツやカカオのニュアンスがあり、洋酒的な風合いも感じられるからだろうか。
フードも「洗練」と「素朴」をキーワードにして、マッチングを色々と試みたくなる酒だ。
「ロック・バーに」
ラベルのイメージがハードロックな気分を促す。
黒・金・赤というカラーリングからモトリー・クルーの「シャウト・アット・ザ・デヴィル」がピンと来た。
妖気をまとったLAメタル臭がプンプンした頃のモトリー。
味のイメージとはやや離れる気もするが、ロック・バーに置いたら最もハマる泡盛がこれではないだろうか。
「今日の泡盛を一語で表すと・・」
「気合」
*****(text by 梅田竹松)
当日の様子
Facebookページのアルバム
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泡盛部 第六期38蔵目:白百合(池原酒造所)レポート

日時:2016年12月8日
参加人数:11名
池原酒造所は1951年に創業するも、代表の池原興吉氏が亡くなり、
その後娘の信子氏が継ぎ、現在は3代目が酒造りに勤しんでいます。
八重山では最初に瓶詰めをしたと言われています。
代表銘柄は「白百合」。他に25度の「赤馬(あかんま)」があります。
非常に個性的な味わいとして一部では熱狂的なファンもいる「白百合」です。
今年の合宿でご訪問させていただき三代目にお世話になりました。
飲み方人気ランキング:
1位:ロック(5票)
2位:ストレート(4票)
3位:水割り(2票)
4位:割燗(0票)
①水割り②お湯割り③ストレート④ロック の順番で、参加者皆で足並みを揃えて飲む方式となっております。
*****
「土薫る泡盛」
ひと嗅ぎして「白百合」とわかる泡盛界一の個性派。
それ故に毎度期待値が上がってしまう。
どんなパンチを食らわせてくれるのかと。
近年、以前よりもソフトになったと感じる「白百合らしさ」だが、そうは言ってもまだまだ他との違いは健在だ。
この酒の香り・味は表現を豊かにし、饒舌にする。
あえて一言で、それもちょっと格好良く表現するならば、と、頭をひねり「土薫る泡盛」と銘打ってみる。
「郷愁をそそる渋い色合い」
「白百合」という花の名とは裏腹にラベルの色彩は渋い。
しかし、それ故に一度見たら忘れない。
さらに、一口酒を含めば、なお忘れない。
味わいと色彩がマッチしていることを実感できるだろう。
文字要素が多い割に、とてもバランスが整っているラベルデザインは、一見「植物図鑑」を思わせる節がある。
子供の頃に開いてみた大人向けの専門書のような図鑑。
難しいけれど、どこか大人びた気分になる。
そんな心模様も郷愁をそそるひとつと言えよう。
「想像スイッチ➡︎オン」
もしも時間が許すのであれば、船旅で石垣島へ向かいたい。
何時間も何時間もかけて辿り着いた先、小さな宿の縁側で疲れをほぐすように「白百合」を呑んでみたい。
いや、「白百合」を口に含むと、想像力のスイッチがオンになる。
すると、自ずとそんなことをしている情景が浮かんでくるのだ。
遠い遠い記憶の片隅に、本当に行ったことがあるのかさえも不確かな「田舎」がある。
その田舎で香った様々な自然の香りの記憶。
香りの良い悪いではなく、嗅覚を刺激する数々の香りの記憶。
呑み方によって香り・味のバランスは変わってきて、記憶のページはその都度めくられる。
実体験ではなくても、例えば絵本や映画で観た世界の懐かしさというものがある。
「白百合」は色々な記憶の情景を呼び起こしてくれる。
「幻の天ぷら」
個人的な話だが、まだ泡盛経験値が浅く「白百合」が苦手だった時代がある。
その頃に某問屋のNさんが「この蔵に足を運んで、池原さんが出してくれる天ぷらと一緒に呑んだら、絶対みんな好きになる」と言っていた。
それを体験はしていないのだが、その話を伺った何年か後、沖縄でそのNさんが「白百合」の姉妹品「赤馬」を呑ませてくれた。沖縄の景色が窓の外に流れるバスに揺られて呑んだ「赤馬」は、僕の「白百合嫌い」を払拭してくれた。
シチュエーションが生み出すマジック。そんな稀有な体験だ。
「白百合」を呑むと、いつもそのことを思い出す。
「土臭い音に浸りながら」
「白百合」を呑むと土臭い音が聴きたくなる。
今回浮かんだのはアメリカのサザンロック。
オールマンブラザースバンドを検索していたら、偶然知らないバンドにヒットした。
頭に流れていたイメージと近かったので、こちらとする。
The Marshall Tucker Band「Can’t you see」
「今日の泡盛を一語で表すと・・」
「土」
となりますかね。
*****(text by 梅田竹松)
当日の様子
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泡盛部 第六期37蔵目:残波(比嘉酒造)レポート

日時:2016年12月1日
参加人数:10名
比嘉酒造の創業は1948年(昭和23年)。「南部酒造組合」として始まりました。
比嘉酒造となったのはその5年後、最初にできた泡盛は「まるたか」という銘柄でした。
「残波」が発売されたのはそれよりさらに後の1980年のことです。
女性にも飲みやすい泡盛をということで、甲類焼酎の研究を経てできあがりました。
「残波」は東京でもずいぶん前から目にすることができた銘柄ではないでしょうか。
飲み方人気ランキング:
1位:ストレート(3票)※2位3票
2位:ロック(3票)※2位2票
3位:水割り(2票)
3位:割燗(2票)
①水割り②お湯割り③ストレート④ロック の順番で、参加者皆で足並みを揃えて飲む方式となっております。
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「入り口」
現在、泡盛出荷量No.1の比嘉酒造さん。
言わずもがな「残波」という銘柄の功績はとても大きい。
これまで何人もの方から「残波おいしい」という声を聞いた。
未だに泡盛=きつい・くさい、という声を聞く中「残波」だけが別枠のような印象だ。
減圧蒸留が造り出す華やかでフルーティーな香り・味わいは、南国で味わうお酒のイメージにピッタリなのかもしれない。
特に「残白」と呼ばれる25度のタイプは、焼酎と同じ度数ということもあり、好印象で受け入れられるのだろう。
泡盛の入り口としても、その功績は大きい。
「渋さ残し」
30度の一般酒は、その「残白」よりも少し渋い印象の与えるラベルだ。
どしっとした「残波」の文字に屏風を思わせるような金と赤のあしらい。
必要事項を全て無くして、和紙に描かれていたら、格調の高いデザインのように思う。
キャッチーな味わいとはかけ離れているかもしれないが、この字体には比嘉酒造さんの矜持が感じられる。
この一般酒が残波ブランドの中でどのくらいのシェアを得ているかわからないが、3合瓶のこのボトルは残していってもらいたい。
「南の涼風」
減圧蒸留特有のフルーティーな香りは、メロンや青リンゴを思わせる。
そして後半にはミントのような爽やかさが流れる。
いわゆるトロピカルフルーツとは別の方向性を持ったフルーツ香だが、それがまた南国の蒸し暑さの中で爽やかさを演出しているようだ。
それは時たま吹く涼風のようでもある。
リゾートでの気分を高めてくれる一服の清涼剤。
そして、ソーダや割材との相性も良く、アレンジが楽しめることも、この酒の魅力の大きな要素だ。
このことも泡盛に対してのハードルを下げる効果を上げているともいえよう。
「泡盛界の吟醸酒」
一時期、日本酒で「吟醸酒」のブームがあり、その後、それは一つのカテゴリーとして定着した。
今はまた純米酒回帰になっているが、吟醸酒によって日本酒のフィールドが広がったことは間違いない。
同じような感覚で「減圧蒸留」により泡盛のフィールドは広がりをみせた。
原材料が同じでも各蔵ごとに味の違いがあるのが泡盛の楽しさであるが、そこにこの蒸留の違い、さらに今は酵母、麹、貯蔵などで彩りが加わる。
ここは改めて、原材料が同じであることに着目をしておきたい。
そして「減圧蒸留」の功績も留めておきたい。
「流し系」
この爽やかな味わいは食に対しても開放的だ。
つまり食を選ばない。
いわゆる「流し」系。口の中をリセットする役割だ。
脂っぽいものは口をさっぱりとさせ、淡白なものには寄り添いながら、すっと身を引く。
甘さも辛さも、渋さも酸っぱさも、うまく交わしていく。
まさにこれも万人ウケする必須事項だ。
恐るべし「残波」
「泡盛界のPOPS」
そんな大衆受けする「残波」にはホール&オーツのPOPさがマッチする。
みんなが乗れるような明るいPOPソングもよいけれど、それは「残白」に任せ、
あえてこの30度一般酒には少し憂いのあるこの曲を。
「one on one 」
「今日の泡盛を一語で表すと・・」
淡・澄・涼・波・泡・・・
「サンズイ」
*****(text by 梅田竹松)
当日の様子
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