泡盛部 第六期16蔵目:春雨(宮里酒造所)レポート
2016年 04月 27日
日時:2016年4月21日
参加人数:16名
創業は昭和21年、当時から「春雨」ブランドはありましたが一時は桶売りのみとなり、幻の酒となった歴史もあります。
独自のデータを駆使し、目指す酒質のための設計をしているという、
非常に強いこだわりのもと、春雨は造られています。
飲み方人気ランキング:
1位:ロック(5票)※2位4票
2位:水割り(5票)※2位2票
3位:ストレート(4票)
4位:割燗(2票)
①水割り②お湯割り③ストレート④ロック の順番で、参加者皆で足並みを揃えて飲む方式となっております。
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「前置き」
「カリー春雨」は泡盛部アワモリアワードの第3回&第5回の大賞銘柄である。
選考方式や選考メンバーが随時変わる中、2度の大賞になったことは純粋に凄いことだと思う。
泡盛部ではひたすらに「一般酒」にこだわって活動している。
一言に「一般酒」と言っても各蔵元さんの考え方や規模によって、そのポジショニングは違ってくる。
泡盛部では、いわゆる3合瓶(600ml):透明瓶を使って検証しているが、
それは泡盛部のテーマでもある「日常」に最も近く、沖縄らしさを感じる規格で、さらに、各蔵の比較検証に適した標準規格だからだ。
しかし宮里酒造所さんでは、この規格の商品を造っていない。
そのため、宮里酒造所における「一般酒」=基本の一本となる4合瓶(720ml):黒瓶で検証している。
標準とは
過去2回、表彰式を兼ねた工場訪問で、宮里徹社長のお話をじっくりと伺う機会を得ている。
現在に至る経緯を伺う中で特筆すべきは「探究心」だ。
仮説と検証を繰り返す実行力こそが宮里さんの真髄である。
そこには自社商品だけではなく、「泡盛の標準(スタンダード)はもっともっと底上げできるのでは」という
泡盛全体への挑戦でもあるように感じる。
「カリー春雨」が宮里酒造所にとっての標準=一般酒であるからこそ、それを基準にして他銘柄の違いがはっきりとする。
「30度一般酒」はその蔵の基準であってほしい。
泡盛部の基本となる願いに対して「カリー春雨」はとても真摯に応えてくれているのかもしれない。
一般酒の魅力とは
とても根本的な話だが、魅力的な一般酒とは?
その答えの一つは、味の延長線上に古酒が見えるか、だと思う。
当然、「今」を呑む酒としての評価はあるが、心惹かれるものには奥行きがある。
その奥行きを無意識に感じられるもの。
「一般酒」は古酒への導線で、それをあえて「今」楽しむというスタンスであれば望ましい。
「カリー春雨」の魅力は明確にそれを感じられるところにある。
時に懐かしく。時に力強く。
今や、「春雨」というブランドに気構えてしまうところがあるが、ここでは心をフラットにして呑んでみる。
水割り(前割)では古風な香りがのぼり、口に含むとカカオのニュアンス。
落ち着いた味わいは、泡盛"らしさ”のエッセンスが抽出されている。
やわらかく湿った空気が身体全体を包んでくれるような懐かしさと安心感がある。
今回一番人気となったロックでは、その印象に力強さが備わる。
香りはやや控え目になるが、味のベクトルはググッと上がり、輪郭がはっきりとする。
そして、かくしゃくとした風格のある味わいが現れる。
実はデータを見てみると、過去には「ストレート」「お湯割」「水割り」が1位となっている。
今回の「ロック」で、4種全てが一位評価を得た。
ただ、今回も一位は「水割り」と同数だったので、水割りの人気が高いことが見受けられる。
それは、水割りにしても味にしっかりとした芯があり、アルコール感の薄い飲み口でありながら、飲み心地が豊かという、呑んべえにとって理想的な状態で、すなわち満足度が高いということなのだ。
「春雨日和」
この日、部活はまさに「春雨日和」。
ぬくい風が吹き、静かな雨が降る春の宵。
年度始めの慌ただしい時期も過ぎ、雨の夜でも部員が多数集まった。
粛々と進むテイスティング。
ひとりひとりが泡盛に向き合い、意見を交わすひと時。
そう、「春雨」は向き合う酒なのだ。
自分と。
仲間と。
にぎやかにではなく、おだやかに。
外の雨音がそれを演出してくれた。
雨音に寄り添うように静かに聴こえるスモーキーな声。
小野リサさんの歌をBGMに。
ジョビン&レジーナの曲「3月の雨」
https://www.youtube.com/watch?v=z37_JPmOb5A
ゆっくりとした時を過ごす一滴「春雨」
「今日の泡盛を一語で表すと・・」
「想(おもふ)」
小西さんによる「今日の一語」をアレンジさせていただきました。
*****(text by 梅田竹松)
なお、この日は、宮里社長より、「マイルド」「ブルー」「ラメ」を寄贈していただきました。
また、部員の武石さんから、貴重な2品を差し入れていただきました。
ありがとうございました!
当日の様子
Facebookページのアルバム
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