泡盛部(神泉):上原酒造
2009年 09月 23日
・日時:2009年9月17日
・参加人数:16名
・銘柄:神泉(しんせん)
・おつまみ:かりんとう 枝付き干し葡萄 手造りタイ料理(サラダ) 嶽きみ(青森のとうもろこし) 嶽きみとしいたけとおくらのグリル(とうもろこしの髭のせ) アイスw/「アイスクリームにかけるお醤油 by 山川醸造」 焼き海苔
第29回目は、上原酒造さんの「神泉」。
わりとマイナーな銘柄かと思います。
いつも申しますが、こういうものに掘り出し物というか、意外な発見があったりするもの。
上原酒造さんでは、備長炭を工場の敷地内に埋め込んだり、電子発生装置によりマイナスイオンを発生させたり、泡盛にとっても、スタッフにとっても快適な環境を考えての泡盛造りをしているようです。
余談ですが、千葉で日本酒の自然酒造りをしている「寺田本家」という酒蔵さんがあります。
そこに見学に行ったときに、麹を育てる「麹室(こうじむろ)」という小さな部屋がありました。
そこは壁の内側に全面備長炭を入れているのだそうで、そうすることによって麹の質がよくなったとおっしゃっていました。菌という微生物であれ、快適な環境で過ごすことがいかに大切かということを学びました。
泡盛にとっても日本酒にとっても「麹」は命です。とくに泡盛は全麹造りという、まさに麹様様なお酒ですので、
その環境作りというのはお酒の味を左右するものかもしれませんね。
ラベルはこんな。
キャップは一般酒では珍しいプラスチック黒キャップ。(720mlの製品ではよくあります)
★ストレート:わりとボリュームのある香り。香ばしさとしいたけ香が同居している温かみのある香り。
チョコレートの「バッカス」みたいな甘い香りという意見も。
口当たりはソフトですっきり。という意見多数。そしてその後に苦味が来るという意見も多数。でもその苦味が程よく、それほどネガティブな印象ではない感じ。
★ロック:香りはさほど引かぬ感じ。アルコール感が立ち上がり、骨格がしっかりした印象。
甘みが増すという意見が多いが、苦味などの刺激が強くなるという意見やすっきりし過ぎという意見も。
★水割り:こちらもロック同様、甘み派と苦味派に意見が分かれる。香りは引くけれど、遠くに個性は感じられる。まろやかさが出るので、長く飲むならこれ、という感じ。
★お湯割り:水割同様に、香りは控えめだが個性は残っている。これも甘みが増し飲みやすくておいしいと言う意見と、ぴりぴりして辛くキツクなったという意見に分かれる。
総じてみると、上記のように、「甘い」VS「苦い・辛い」という構図がみえる。
ざっくりだが、最初に良い印象をもった人はそのまま良い印象、最初に悪い印象を持った人はそのまま模索、
といった感じか。
極端な個性は感じられないが、甘み辛みも含めてバランスがよく、飲み口もやわらかで飲みやすく好印象。
それ故に、記憶には残りにくいかもしれないが、長く飲むのにはとても適した程よい旨みなのではないかと思われる。
・・・FOOD・・・
今回のメインは「嶽きみ」。
マスクメロン並みの糖度を誇る青森・嶽地区のとうもろこし。
ちょうど泡盛部開催の日に入荷することができたので、まずは「生」で!
しゃくっとした歯ざわりとあふれ出る甘い水気は、完璧にフルーツです。
本当に甘い。
そして、しいたけ、おくらと一緒にじっくりグリル。
それぞれの風味が混ざり合う季節のひと品。
そこに、うまいとうもろこしだからこそ食べられる「髭」をわさっとのせて。
たくさん食べるものではないですが、青みとほのかな甘みがなんとも言えぬおいしさなのです。
その他、部員Aさんの「ココファームワイナリー」のお土産。枝付き干し葡萄。
ドライフルーツは泡盛にぴったりです。
そして、新入部員のSちゃんがお手製のタイ料理を。
・ラープムゥ(豚肉の香草和えサラダ)
Sちゃんは9月26日に渋谷の「無銘食堂」というところで、一日だけの「タイ料理屋」をやるとのことです。
そこで「タイ米」が原料の泡盛も出したいと言うことで、その検証のために入部に至ったわけです。
以前、遠征で赤坂のタイ料理「ラポー」さんで検証したとおり、タイ料理と泡盛の相性は抜群です。
スパイシーな味わいには、ストレートやロックよりも水割りやお湯割り、特に「前割り」がベスト。
もっとタイ料理屋さんに泡盛が入るよう、泡盛部としても普及活動していかねばなりません。
今回はデザートとして、岐阜の山川醸造さん作の「アイスクリームにかけるお醤油」をたらしたアイスを。
アイスは山川醸造さんのおすすめに従い、「ロッテ 爽」を。
醤油というより「みたらし団子のたれ」という感じです。
わりととろりとしていてしっかり甘く、郷愁をそそる味というか。
ただ酒飲み連にはちょっと甘すぎた感があり、海苔で巻いてみたり。
ちなみに、升本屋の人気商品、「弓削多の吟醸純生しょうゆ」を「爽」にかけて海苔で巻いたり、定番「オリーブオイル」をかけたり、となかなかのコンフュージョンなデザートタイムでした。
山川醸造・西願さん、サンプルご提供ありがとうございました!
かりんとうについては、塩みつ、生姜などの反応がよかったです。
その他、あわせたいお料理・肴・・・
白身魚(鯛)のカルパッチョ、酢の物、ボンカレー、超シンプルな味付けの料理
・・・MUSIC・・・
まずは挙がったもの。
軽いビートルズ、清志郎(「スローバラード」で泣く)、大貫妙子(「都会」)、AOR、キリンジ、エアロスミス、GUNS'N'ROSES、嵐、スターダスト・レビューなど
大貫妙子がないので、FLIM FLAMのカヴァーで「都会」をかけたり、嵐の代わりにSMAPをかけたり、エアロもガンズもビートルズもかけましたが、、、
Aさんの提言による「能天気」というキーワードでこちらをかけたところ↓
さすがにすごい!
「スーダラ節」がかかった瞬間、ぷわ~っと空気は開き、場に陽が差したようでした。
降りてきました。
何かが。
高度経済成長期のサラリーマンの悲哀を軽やかに歌い上げる植木等氏の唄と、クレイジーキャッツのサウンドは、あの時代にしか生まれ得ない空気をはらんでいます。
時代の空気の共有感というのはいつの時代にもありますが、そこに「高揚感」や「笑い」などのアッパーなタッチがあるのは、近年では限られた時でしかありえません。
いつの時代でもそのような気持ち・気分でありたいと思いつつもそのようにはならない。
けれど、そんな気持ちにさせる酒があれば嬉しい。
「神泉」は先述の通り、個性の面で長けてはいないように感じるが、その造りによる環境面・精神面で、いつも
快適な状態を保たれて創られた泡盛のように感じる。
自分自身の環境を快適にして、いつも平静な心をもち、誰にでもやさしく快く接し、笑顔を絶やさぬように生きていく。
そんな神のような心持ちや振る舞いを保ちながら飲めるのがこの「神泉」ではないだろうか。
そしてそんな心持ちだからこそ快適は快楽になり、神に懺悔すべく「わかっちゃいるけどやめられない」となってしまう。
そんな泡盛なのかもしれない。
ターボ部員もT部員もやめられない。自分探しの探偵物語。
必読!部員Aさんのブログ
http://collabo98.blog77.fc2.com/blog-entry-182.html